さて、ネイチャーフォトチームは、昨年に引き続き、浮世絵美術館「夢灯」さんにおじゃましました。館長の武藤さんに、思う存分、浮世絵の魅力を語っていただきました。
この日の企画展は「日坂の宿展」。
小夜の中山に伝わる「夜泣き石」や、東海道の難所と言われた日坂峠の宿の様子、名物「飴のもち」や「わらびもち」などが浮世絵の中に登場します。
館長の武藤さんは「浮世絵」について、こんなふうに解説してくれました。
「浮世絵とは、読んで字のごとく『浮世の絵』であり、人々の生活そのものを表現したものです。手に入りやすくするため、木版により大量生産した版画だと思います。
こんなわけで画題には、庶民の娯楽の歌舞伎や役者、遊郭関係、歴史上の人物、相撲など、多方面にわたっています。『東海道五十三次』では、各宿駅の名所、名物等を描き、旅のガイドブックのような役割を果たしていました。それゆえ、当時の各地を知ることができます。江戸時代の『るるぶ』のようなものですね(笑)」
なるほど〜、と一同納得。
さらに、こんなお話も。
「北斎や廣重など絵師が下絵を描き、彫り師が彫り、摺り師が摺って完成させます。彫り師、摺り師の技が絵師の描いた絵に繊細さを加え、一層、絵を高めるといってもいいのです。たとえば、彫り師の技ですが、ここに描かれている髪の生え際(毛割りといいます)を見てください。1oの間に5〜6本の線が描かれています。絵師が描いた下絵にはそんなに細かな線は描かれていません。彫り師、摺り師によってレベルアップしています。こんなところで、彫り師は技を競い合いました」
ルーペで確認。
さらに、なるほど〜。
「摺り師も同じです。「ぼかし」は摺り師の技術のひとつで、顔料の乗せ方や微妙な摺り加減で見事なグラデーションをつけます。ときには、下絵の海のところに「うみ」とだけ書かれ、水の色、波の状態などは、彫り師、摺り師に任せられたこともあるようです」
実はこれ、春画の一部分。
嬉しそうに(?)見ている受講生たち……。
そんなこんなの、充実の浮世絵鑑賞でした。
その後は、それぞれの感性のおもむくままに撮影に!
小川講師からは、
「今年度の集大成。絞り、シャッタースピード、露出など意識して、寄ったり引いたりする中で、近くから遠くまで撮影してみよう」とのメッセージ。
さてみんな、どんな写真を撮ったのかな?
きっと、絵師、彫り師、摺り師に負けない感性で、中山峠が撮影されたものと、思います。
午後、互評会の予定でしたが、お休みや午後から用事のある受講生が多く、日を改めて行うことになりました。(きっと、お疲れさま会も兼ねて〜)
ということで、お弁当を食べ、「夢灯」さんでコーヒーを入れていただき、中山峠をあとにしたのでした。
みなさん、お疲れさまでした〜。
それにしても、浮世絵の解説、面白かったです〜。
武藤さんは、8月7日(土)、掛川市竹の丸にて「浮世絵師の描いた日坂、小夜の中山、掛川について」の講演をされるそうです!
尚、「互評会&お疲れさま会」については、後日、日時をご連絡いたします。
お疲れさまでした〜〜。
[おまけ]
中山峠からの風景:小川講師撮影