Nipponの密(1/17)報告

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Nippon学が始まりました。

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第1回目は、『Nipponの密』
講師の静岡大学人文学部客員教授・平野雅彦先生は、“情報意匠”という考えに基づき、アート・シーンから教育現場までジャンルを超えた知を編集し続ける情報プランナーです。今回もこの日の為に、舞台となる事任八幡宮を8回も訪れ、日本の文化を綿密かつ多角的に見せるプログラムを考えて下さいました。
今年度の受講生は15名。初回の参加者は11名です。

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16:00 〜音連れ〜
そろそろ薄暮に差し掛かる神社の社務所に、チーンチーンチーンと鐘の音が鳴り、襖を開けて、不思議な男性が入って来た。そしていきなり、夏目漱石『夢十夜 第六夜』の朗読が始まった。
「運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから…(中略)するとさっきの若い男が、なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはないと云った。自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。…(中略)それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。」

迫力のある朗読は、SPAC(静岡県舞台芸術センター)の奥野晃士さん。恰もそこが仁王像の彫刻場のような、不思議な世界の扉が開いた。

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そして、平野先生が登場しプログラムが紹介された。
「これが講座の内容です」と配られた和紙には、金粉が光り『事任言任』 『音連れ』 『そこここ 豊葦原の柱の國』 『夜の食國』 『門を止音少』 『ことのまま月の光るは源氏かな』 『三々五々』 の文字や意味深な絵が描かれている。

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16:30 〜事任言任・そこここ 豊葦原の柱の國〜
ぼんやり薄明かりの部屋で、和蝋燭がメラメラと高く火柱を上げている。
今宵・月・密・ものごと・・・。古の時代、言葉は軽々しく発せられるのもではなく、言葉はもの(気配)を伴い‘言霊’となって人の心に事を起こした。事任八幡宮・磐戸・鯨山伝説・柱・日本神話・文字・結・・・。八百万の神を感じながら暮らしてきたこの国のかたちが、画像を交えながら解説されます。

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17:50 〜夜の食國(おすくに)〜
ここで一旦休憩です。
机を集めた大きな食卓を囲み、おむすびとけんちん汁と、差し入れの漬物を頂きながら、暫しの交流。奥野さんの話題に質問が集中しました。

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18:00 〜門を止音少〜
もう外は、暗闇です。各々手に灯りを持ち、境内の中門を潜り、茶畑の小道を通り、蝋燭の灯りの階段を下りると神社裏手の禊の場に着く。そこは、鯨山伝説のある逆川。足元が不安で、後ろの気配が誰なのかも分らない。しかし、星が綺麗なのは確かな現実。
再び中門を潜り、御神木の杉横の拝殿へ着くと『夢十夜 第三夜』の朗読が始まった。
「こんな夢を見た。六つになる子供を負ってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れて、青坊主になっている。…(中略)もう少し行くと解る。ちょうどこんな晩だったな と背中で独言のように云っている。路はだんだん暗くなる。ほとんど夢中である。…(中略)ここだ、ここだ。ちょうどその杉の根の処だ。御前がおれを殺したのは今からちょうど百年前だね。おれは人殺であったんだなと始めて気がついた途端に、背中の子が急に石地蔵のように重くなった。」

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ぞわぞわぞわっ・・・と背筋が感じる。
‘子育て飴’が、このタイミングを計ったように差し入れされ、甘酒で休憩します。

19:15  〜ことのまま月の光るは源氏かな〜
か細い下弦の月は西の山に沈み、社では日本文化に深く関わっている月の話しになった。月は再生の象徴、月は生体のリズム、月は日本人の美意識、月は媚薬・・・。京都の桂離宮は、日本が最も雅だった頃を再現した、月を愛でる為の巨大な装置だったのです。また、和歌は暗号の言葉遊び。
こうして物事を別のデザインに置き換え、意匠してきたのが日本文化だと。これがNipponの“密”なのか?と朧げながら・・・。平野先生から講座のまとめとして、「何かを見た時に、その中から情報を取り出せる視点をもつ事が大切です。」と語られました。

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そして最後の朗読は『夢十夜 第一夜』
「こんな夢を見た。腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。…(中略)死んだら、埋めて下さい。大きな真珠貝で穴を掘って。そうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さい。そうして墓の傍に待っていて下さい。また逢いに来ますから。 自分は、いつ逢いに来るかねと聞いた。日が出るでしょう。それから日が沈むでしょう。それからまた出るでしょう、そうしてまた沈むでしょう。赤い日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに、あなた、待っていられますか。…(中略)自分は首を前へ出して冷たい露の滴る、白い花弁に接吻した。自分が百合から顔を離す拍子に思わず、遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬いていた。百年はもう来ていたんだな・・・

20:00 〜三々五々〜
『Nipponの密』 不思議な余韻が残ります。

posted by スローライフ掛川 at 2010/01/23 22:05 | Comment(0) | アクティビティプログラム>NIPPON学
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